人間が、優れた仕事をするためには「アンドリュー.カ-ネギ-」
アメリカの鉄鋼王アンドリュー.カ-ネギ-の墓碑銘には、
「おのれよりも優れた者に働いてもらう方法を知る男、ここに眠る」
という銘があります。
カーネギーの墓碑銘は経営者が組織を運営する上で直面しがちな問題を暗示し、それを克服するための極意を言い表しています。
つまり、どんなに有能な経営者でも組織を成長させていくためにはチームが必要となり、チームの力を結集して内外の問題を解決して組織を成長軌道にのせていくということです。
カーネギーは12歳で紡績工場に就職し、それ以来、社会にもまれて、自らこれを実践して「鉄鋼王」と呼ばれるほどの結果を残してきたために組織運営のコツとして若い世代への警鐘としてこういった墓碑銘を残したのだと思います。
「人間は、優れた仕事をするためには、自分一人でやるよりも、他人の助けを借りるほうが良いものだと悟ったとき、その人は偉大なる成長を遂げるのである。」
のちの経営学の神様と言われるドラッカーは組織が成果を上げるためには
『人に成果をあげさせるには「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。「いかなる貢献ができるか」を問わなければならない。「何が出来ないか」を考えてもならない。「何を非常によくできるか」を考えなければならない。
特に人事では一つの重要な分野における卓越性を求めなければならない。』
『 真に厳しい上司、すなわち一流の人を作る上司は、部下がよくできるはずのことから考え、次にその部下が本当にそれを行うことを要求する。』『弱みを意識して人事を行うことは、組織本来の機能に背く。組織とは、強みを成果に結びつけつつ、弱みを中和し無害化するための道具である。』
といったことを述べています。
こういったことがよくわかる例としてアメリカの南北戦争時のリンカーンの対応があります。
リンカーンは当初、「強み」よりも人間的に「弱み」の少ない人物を最高司令官に任命して戦争を行っていました。いわば人格円満、清廉潔白、弁がたつだけの人物を最高司令官に据えていました。
結果は南軍よりも物量、兵力で勝りながらも敗戦続きで苦境に陥っていました。
3年の敗戦の経験からリンカーンは「弱みの少ない」だけの最高司令官より「強み」を持ち「弱みのある」将軍を最高司令官に任命することにしました。
周囲からその最高司令官の酒好きの私生活を非難する声が耳に届いたりしましたがリンカーンはそういった私生活上の弱みは聞き流しました。
リンカーンが求めていたことは戦に勝つという「成果」でした。
たとえ生活態度に「弱み」があろうと仕事上の「強み」、この場合は、「戦上手」である将軍を登用しました。その後、やっと北軍は戦いに勝てるようになりました。
つまり成果に貢献できる「強み」を持った人物ならたとえアル中でも女好きでも博打好きでも弱みは二の次にする覚悟をしていました。但し仕事にその弱みが悪影響を及ぼさないという前提で。
この事例は組織の「人事政策」のあり方について思慮に満ちた問いかけをしています。
組織は存続していくために常に「成果」を求められています。この「成果」の連続だけが組織を維持し、発展させていくエネルギーになるからです。こういった特質を持った組織の仕組みは、単に人格円満、清廉潔白という「強み」だけでは重要な役職を担っていく上で何の価値もないということです。たとえ、酒好きでも女好きでも博打好きでも、スタンドプレーに走りやすくても、感情的になりやすくても「強み」をもち、組織のために「貢献」し、「成果」を出せる人物なら組織としては大事しなければならないということです。
お隣の中国の国家主席の登小平も
「白い猫でも黒い猫でも鼠を取る猫はいい猫だ」と。
裏を返せば「鼠を取らない猫はたとえ白い猫でも悪い猫だ」という意味です。
これをリンカーンの事例にあてはめるなら「成果を出さない将軍は悪い将軍だ」、たとえ清廉潔白で人格円満でも、ということになります。
いずれにしても、組織の人事で大切なことは誰が組織に「貢献」し、「成果」を出してきたか、ということを基準にするということです。決して「あいつは皆から好かれているから」、「将来性があるから」などといった情緒的な蜃気楼のような基準で人事を行わないということです。
どのスタッフがどんな「強み」を持っているのか、その「強み」は今の場所で活用されているのか、またこれまでどんな「実績」を残してきたのかをしっかり見極めることが経営者にとって大切です。
