解雇:経営者なら原則を知らなければならない |LBコンサルティング

今日のテーマは「経営者なら知らなければならない解雇について」です。
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解雇事例

運送会社の解雇

ある運送会社の解雇の例です。

その会社は地方都市にあり、夜中の2〜3時ごろ、都内の生鮮市場へ出向いて、野菜類を地方のスーパーや食料品店へ配達していました。

この会社のドライバーが深夜便担当にもかかわらず出勤前に居酒屋で酒を飲んでいるという情報が社長の耳にはいり、社長は、そのドライバーを即日、解雇しました。社長の気持ちのなかには、そのドライバーが過去に勤務前に酒を飲んで事故をおこしていたので「仏の顔も三度まで」という気持ちでした。

しかし、そのドライバーは、後日、労働基準局へかけこみ、本人は、「不当解雇」だと申し立てているとの話を告げられました。さすがに不当解雇の指導は、撤回されましたが、すべてのタイムカードを調べられ、そのドライバーの解雇予告手と2年分の時間外手当、その他ドライバーの分の時間外手当も支払い命令をうけ、社長は、頭を抱える羽目になりました。
もうひとつの事例。ある営業会社

メンタルヘルス

女性事務スタッフと男性営業マンのトラブルから発生したメンタルヘルスにかかわる労務問題です。

朝、挨拶をしても無視していると男性営業マンから恫喝をうけた女性スタッフが泣きだして、早退。
病院でパニック症候のため、自宅療養を要するとの診断を受け、結局、1年半の休職。その間、その女性は、健康保険の休業手当を受け、一方、頭を抱える羽目になった社長。

いずれのケースも、会社側に特別な落ち度があった訳では、ありませんが、不足していたのは、万が一の場合にどのように労務管理を行うか、想定していなかった点です。就業規則は、労働者を守るものでもありますが、会社側を守るものでもあります。特に、解雇や処罰に関することは就業規則に対応方法を記載していることが、結果として会社を守ることになります。
最初のドライバーのケースは、過去に飲酒運転をおこしたとき、懲戒処罰に関する文章やそれを本人が受理した証拠など
の不備、また即日解雇が本当に自社の就業規則にそった対応だったのか、チェックすべきでした。

次のメンタルヘルスに関する事例は休職期間の上限設定や、休職中の症状の報告義務の規定などの不備が目につきます。

経営者の本音

私も、そうですが、多くの経営者は自分の手で他人の人生を不幸にしたり、路頭に迷わせるようなことはしたくないのが本音だと思います。解雇とは、たとえどんな大義があろうとそういった側面がついてまわりますから、それを決断する経営者サイドにも精神的な苦しさと葛藤を与えます。本当なら、こんな場面にかかわらずに会社経営をできたら、どんなにいいかと思う経営者が多いものです。

「我が社は創業以来、従業員の首をきったことがない」と豪語する社長様もいらっしゃいます。これは、運良く、その期間、業績が一定であっただけの話です。もし、未来永劫、そういった状態が続くと思う経営者は、遅かれ早かれ、自分で自分の首をしめることになります。

私は、事業再生企業で再生のかじ取りをしたり、コンサルタントとして会社の最終局面をその社長にかわって倒産通告をしたりと、一般的な経営者より多く、従業員へ解雇通告をした経験があります。

やもえないこともある

事業が順調なときは、

  1. 期待して採用したが仕事ができない
  2. 組織の規律を守らない
  3. 最低水準の仕事をしない

などの理由で、解雇を検討せざるを得ない場面に遭遇します。

まわりの足をひっぱる不良社員に温情をかけて真面目に仕事をしている社員のストレスを増大させつづけるか、スッパリ、解雇して、職場に平安をもたらすか?といった選択を求められることが出てきます。100人の従業員を雇用していたら2~3%はとんでもない価値観と行動をする人間がいるものだと思って、その「とんでもない社員対策」をおりこんだ組織運営をしなければなりません。

事業が低迷期のときは、舟にたとえれば、いままで100人のれていた舟が、業績不振で30人しか乗れなくなっているのと同じ状態です。事業を存続させるためには、この余剰の70人を舟から降ろさなければ、全員で沈没することになります。こういったときに、決断を迫られます。

考えたくないことが起こってしまうのがビジネスです。経営者は、ひとを雇用するときは、これらに対応できる準備と方法を知らなければなりません。

ここからは、解雇を考えたくない経営者は、自分には関係のない雑学のひとつとしてお読みいただければと思います。

平常時の解雇

⑴注意すべきこと

従業員は、法律で守られているため、ケース1のように手順を踏まない感情的な解雇を行うと会社・経営者は、痛いめにあいます。なかでも、「不当解雇」と労基から認定されると少なくとも1年間の給料を保証をしなければならないなど会社側は経済的な損失をこうむります。

そして、通常なら申請すれば受けれるはずの公的助成金が受けれなくなる、などのペナルティーが課されたりします。

⑵ 手順を踏んだ解雇とは。

自社の就業規則にそった手順での解雇することですが、肝心かなめの就業規則を軽くみて、そういった備えをしていない中小企業は少なくありません。

危機意識の強い経営者なら、就業規則のなかに、解雇にいたる「項目」や「手順」を記載します。それが弱い経営者は、「厚生省モデル」の就業規則を流用して、「曖昧」に「業績によって解雇できる」とだけ記載してある就業規則で何の疑問も持たない方がたくさんいらっしゃいます。「厚生省モデル」は、会社が倒産しそうなときにしか解雇はできないという、文章になっていることを理解しなければなりません。

解雇は、法律上、「社会通念上、合理的、妥当」な場合以外は、「不当解雇」とみなされます。

どういう場合に、どういう懲戒処分ができ、どういう手順で解雇するか、最低限、会社の就業規則に、書かれていなければなりません。

そして、それを裁判の証拠資料のように、資料として残しておくことが、のちのち、会社を守ることになります。

最後にポイントを列挙

解雇は、感情的にはできない。
懲戒処分は、従業員教育であるとともにそれを書面でやり取りすることは、会社を守ることになる
裁判のように証拠資料を残しながらでないと労務騒動では、会社側は常に敗北する

 

事業縮小や倒産危機のときの人員削減、解雇については、また別の機会に記載したいと思います。

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