ドラッカーの「経営者の条件」・・どのように貢献できるか
ドラッカーの「経営者の条件」・・どのように貢献できるか
「成果」
とは
1.組織の直接的な利益
2.組織の価値を高める
3.組織の人材を育成する
ドラッカーは、このことを大きく3つに分類しています。この視点を持って仕事をすることではじめて、「組織の成果」につながる貢献ができるようになっていきます。
ただ闇雲に下を向いて真面目に仕事をしていてもそれは「成果」には程遠いところを蠢(うごめ)いている等しいということです。
会社勤めをしていると居酒屋で同僚や先輩が酔っぱらって
[char no="2" char="アオイさん"]「こんなに毎日、残業しているんのに!」
「こんなに担当件数を回っているのに!」
「俺の方があいつより古いんだぜ!」
「ゴマばかりすっているから、あいつ、部長になったんだ!」
「この会社は人事考課なんてシステムはないに等しいよ!」[/char]
などと口角泡を飛ばして酔っぱらっている光景を目にしますが果たしてそういったサラリーマンが毎日の仕事で「どうやって組織の成果に貢献しようか」と認識しているか疑問を持ちたくなるときがあります。
ドラッカーの言っている「組織の成果」の3つの領域うち
「直接の成果」=「直接の利益」
1番目、「直接の成果」=「直接の利益」は比較的、誰もが理解しやすいものだと思います。この言葉から一般的には組織の売上であったり、取引上の粗利であったり、営業利益であったりと誰でも似たようなことを思い浮かべることができます。
しかし、これは曲者です。
だれでうなずけるだけに軽く考え、誤った理解が横行しがちな領域であることも否めません。
この領域でよくある勘違いは事務職やシステム職、いわゆる間接的職種の人間たちが直接利益は外回りの営業マンだけに関係があることだと思い込んで無関心を決め込むケースであったり、一方、そう思われている営業マンは営業マンで自分の担当得意先で個人の営業実績をあげることだけが直接の利益に関係することだと考えてドラッカーが意図している「組織」の視点を欠落し、矮小化された次元で価値判断をしたりしがちです。
[su_highlight background="#ffff99"]そして「組織の成果」=「組織の利益」に結びつかない行動をとったりすることがよくあります。[/su_highlight]
あり得る事例としは
Aという社員が月末近くに契約してきた商談をその月の自分の営業実績として計上するためにそれまでに決まっていた配送納品の順番を無視して入れ込んだりするケースがこれにあてはまります。確かにその月に納品が完了すれば、その売上は彼の営業実績として計上できるでしょうが果たして真の意味で「組織の成果」となったかは甚だ疑問になります。もしかしたら納品の順番を狂わされた他の社員の得意先からクレームがきて、重要な得意先との関係が壊れるかもしれません。また、それがきっかけになって社員同士がいがみ合ったりするかもしれません。
もうひとつ、こんな事例も中小企業にはよく見受けられます。
毎週、中間管理職たちが集まって営業会議を行い、そこででてくる顧客の変化には目を向けず、前年同月の売上実績比較と社内の書類の流れの進捗と売上回収管理にばかり目がいき、百年一日のように同じ議題を繰り返し、気がついたら会社は傾き、自分自身がリストラの対象になっていたという泣くに泣けない職業人生を送ったりします。
[su_highlight background="#ffff99"]これは仕事が処理に追われ、「処理」=「仕事」というサイクルに陥ったため、ドラッカーの言う成果の「機会」に目を向けずに「問題」に目を向けて仕事をする結果、おこる現象といえるでしょう[/su_highlight]。
「成果をあげる」ために「貢献する」という意識を持てば、今、あげた事例の仕事でさえ自分の取り組む対応が違ってくるはずです。もし、自分が間接的職種の立場なら直接的職種のスタッフが成果をあがるように自分たちの仕事のあり方を見直すべきでしょうし、それは自分たちが作っている資料がどのように組織に利用されているのか、また専門用語や数値が組織の中で孤立していないか、どのように加工すべきなのか等を常に問い直す必要があります。
もし自分が営業マンで、百年一日のようなかわりばえのしない会議に参加していているのなら形骸化している会議は組織の利益に反しているのですからNOと言うべきでしょう。たとえ仲間同士であっても、組織の利益を損なう習慣は改善して建設的な意見を述べあうべきでしょう。こういった些細なことの積み重ねが「組織の成果」に結びつき貢献するかしないかの分岐点になります。
価値への取り組み
これは組織として低価格で勝負するのか、高価格・高品質で勝負するのか、明確な特徴を持たなければならないという、「ポジショニングマップ」または「競争戦略」のどちらかの範疇に入るものだと思います。ドラッカーは後世に対して大事な領域としてこのポイントだけを示し次の世代がそれを深めることを期待して残していったのかもしれませんね・・・。
いずれにしても、この「経営者の条件」の中ではあまりページを割かれていない項目であることも事実です。しかし、組織がビジネス活動を行う上で重要な領域であることは間違いありません[su_highlight background="#99fff7"]。船にたとえるならば羅針盤の役割、企業にあっては経営理念に相当するものだと思います。[/su_highlight]
この「「価値」への取り組み」という命題に対して私たちは組織人として、従業員として、個人としてどのような貢献ができるのかと問いかけられると簡単に答えられない位、その意味は深く、広く、かつ漠然としています。
あえて身近な事例で答えるとすると私たちが働いているお店や会社でまず自分のできるところから丁寧な接客を実行し、確実な納期、標準以上の品質の維持につとめ、お店や会社の信用を高めていく一翼を担うことが組織の「「価値」への取り組み」に貢献できる一歩ということでしょうか。
そしてその次に組織全体のコンセプトにそった商品・サービスの進化をはかり、なおかつ迅速な提供をするという流れになると思います。組織の商品・サービスのコンセプトを自分の中で血肉化するぐらいに理解していることが前提になるのはいうまでもありません。
この領域の理想形としてよく引き合いに出されるのは「リッツ・カールトンホテル」の極めの細かな「サービス」の話ですが、もしかしたら皆さんもどこかでこの話を聞かれた方もいるかもしれませんね。「リッツ・カールトンホテル」は顧客ひとりひとりを自分たちの「ゲスト」として「もてなす」というコンセプトでサービスを提供しているために痒いところに手が届くと言われるほど評価の高いサービスを実現しています。
私たちが組織の「[su_highlight background="#99fff7"]成果をあげる」ために「どのような貢献ができるのか」と考えたとき「価値への取り組み」という領域にもエネルギーを注がなければならないと認識しているだけでも大きな貢献になる[/su_highlight]と思いますがいかがでしょうか。
人材育成
まさに「企業は人なり」という格言の通りです。
しかし、これを外部の経営コンサルタントに丸投げするとこの領域に踏み込むと様々な研修を3ヶ月、半年、1年と行っても、結果、泥沼にはまって顧問先から苦情のひとつでも頂戴して次年度のコンサルタント契約は更新しないというパターンに陥るのがよく見られる光景です。
確かに「人材育成」はうまくいけば効果は絶大ですが外部のコンサルタントがその理念を説いたり、研修をやったぐらいですぐに効果が出てくる領域のものではありません。
[su_highlight background="#faff99"]時間とタイミング、給与体系の変更、組織の人事考課の改善、組織の仕事の仕組み自体の見直しなどさまざまなものを総動員して、更に多くの偶然が重なって、はじめて成果が出てくる難しい領域[/su_highlight]です。
世慣れたコンサルタントなら改善課題としてメインにもってくるような危険なことはしないと思います。
かりにやったとしても「人材育成」の大切さやその理念を述べて、さっと別のテーマを具体的な改善課題として掲げると思います。
しかし、ドラッカーは、ここで「人材育成」は「企業の存続」のため、企業が「成果をあげる」ため、またそこに至るために「貢献する」不可欠なものとして真っ正面から取り上げています。まったくあっぱれです。
そしてドラッカーは彼が知っている人材育成に成功した企業の具体例を紹介しています。
[char no="4" char="大曲さん"]大手小売チェーンで60歳を過ぎてから社長になった経理畑出身の地味な人物が「自分に出来て他人に出来ないことで、うまくいけば会社を大きく変えられること」は何かを考えて「将来の幹部候補」をたくさん育成することだと目標を定め「実行」した例です。この例で面白いのはこの会社では彼が社長になる以前から人材育成のために社員各自のキャリアアップのヒアリングやそれをもとにした人材育成「計画」を作っていて、それが毎年「計画倒れ」に終わっていた[/char]という苦い経験をもっていたことです。
彼がやったことは今まで作成した計画を「実行」に移すことに力を注いでいったに過ぎません。
その「実行」の仕方も特別なものではありません。オーソドックスな「PLAN、DO、SEE」のやり方です。
唯一、彼が他人と違っていたところは「人材育成」を自分の在任中の重要な経営課題として位置付け、粘り強く関心を示し、実行したという点につきると思います。
[su_highlight background="#faff99"]彼は人事部に週に2~3回は立ち寄り社員の個々の人事ファイルをめくり、人事部長に質問したり、うまくいっている場合は直属の上司に電話をかけ、ねぎらいの言葉をかけたりしたていたそうです。
そして彼は数年でその会社の社長を退任し、その後、会社は大きく成長しました[/su_highlight]。彼は会社の発展の礎を作った社長として誰からもその実績を称賛されたそうです。
これは人材育成が「組織の成果」に結びついたいい事例です。そして成果にいかに貢献したかの具体例と言えます。

